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タ イ ト ル:「画期的な農畜産物作出のためのゲノム情報データベース」の試み

発 表 者:伊藤 剛

所     属 :農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター

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    旨 :農林水産関係の研究においても、他の生命科学系分野と同様、ゲノムプロジェクトや関連する大量解析の進展に伴って生産されるデータの量が増大し、それらのデータを効率よく利用する道具としてのデータベースは必須となった。例えば、日本が中心となって2004年に配列完成を宣言したイネ全塩基配列解読に続き、トウモロコシ、ダイズといった主要穀類や、カイコ、ブタのゲノム、また、これら生物種のcDNAなど、農業上重要な様々な生物において塩基配列が生産され、関連するデータベースが整備されてきている。このような状況下、昨年度までは農業生物資源研究所を中心として、「農林水産生物ゲノム情報統合データベース」を開発、運用し、個別の研究室で作成されてきた多数のデータベースを取りまとめた研究インフラとして整備する事により、農畜産物研究の推進のための基盤を形成してきた(図1)。
 近年のいわゆる次世代型(新型)シーケンサーの技術革新によって、特に配列情報の増加は桁違いに大きくなっている。データベース構築を個別の研究者に任せて取りまとめを行うだけでは追いつかない状況であり、従ってデータ解析からデータベース運用までを一貫してプロジェクト化する必要に迫られていた。そこで今年度より、「画期的な農畜産物作出のためのゲノム情報データベース」として、大量配列情報を念頭に以下のような研究を開始している。
 第1に、前記の農水統合DBを引き継ぎ、今後生産される配列情報を含めて農林水産関係の主要なデータを閲覧できるデータベース(群)を総合的に構築及び運用する。第2に、総合科学技術会議が提唱している日本におけるナショナルデータベースの構築を共同で進めるため、バイオサイエンスデータベースセンター等と協調し、データアーカイブの提供や横断検索機能の開発を行う。第3に、農林水産関係の研究者が生産した新型シーケンサーの配列情報を受け入れ、管理を行う。このため、大容量ストレージと高速ネットワークを整備する。第4に、育種のためのマーカー作成や表現型と配列の関連を大規模解析するシステムを開発し、農林水産研究に必要な情報解析を支援する。本発表では、これらの研究開発の現状や今後の見通しについて報告する

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図1 農林水産生物ゲノム情報統合データベースや関連する多様なデータベース