演題詳細


 

タ イ ト ル: 「KNApSAcKファミリデータベース:メタボロミクスから展開する植物の多目的活用」

発  表  者: 金谷 重彦

所    属 : 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科

発 表 資 料 : 講演動画 / 講演スライド 金谷先生スライド

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要    旨 :

 ヒトは、動植物・微生物から栄養を獲得し恒常性を維持する。すなわち、食物の機能性を考慮し、最適化することによりヒトの健康は維持される。メタボローム研究の一環として、ゲノムサイエンスと薬用/食用の知識を統合的に扱ったプラットフォーム(図1)に従って開発を進めているデータベース(KNApSAcK Family DB)を紹介する。
 まずはじめに、人類の歴史により培われた食/薬用植物における知識を活用し、生薬においては日本における漢方薬(KAMPO DB、278薬用生物、336処方)、インドネシアにおけるジャム(JAMU DB、1133薬用植物、5310処方)といったヒトの体調により組わせて摂取すべき食/薬用植物の情報を体系化しDBに整理した。また、食用に使用されている生物を食用DB(Lunch Box、709生物)、さらにはハーブとして利用されている生物をハーブDB(Tea Pot)として整理し公開した。また、国ごとの食/薬用植物の利用を把握する目的で、世界の薬用植物データベースを構築した(WorldMap DB、222地域、50,000地域-薬/薬用植物の関係)。さらに生薬を含む生物において生合成される代謝物を科学文献より網羅し、生物種-代謝物関係DB(KNApSAcK Core、101,500対の生物種-代謝物の関係、5万代謝物種、2万生物種)を構築した。例えば、タマネギは食欲増進に効果があるなど、その生物のヒトに対する活性および抗菌作用のようにその生物が他の生物に対してどのような活性があるかが報告されている。このような、生物が他の生物へ与える活性を生物活性DB(Biological Activity DB、2,418種の生物活性における3万対の植物とその活性の関係)として整理・公開した。同様に、個々の代謝物が生物へ与える影響を代謝物活性DB(Metabolite Activity DB)として整理した。また、薬用・植物における有効成分の生合成過程を把握する目的で、植物-酵素-酵素反応からなるデータベース(Motorcycle DB)の構築を進めている。

(図1)
図1


参考文献 (website URL)
1). Afendi F.M.et al., (2012) KNApSAcK family databases: integrated metabolite-plant species databases for multifaceted plant research. Plant Cell Physiol., 53:e1-e12.
2). Okada T. et al., (2010) Metabolomics of medicinal plants: the importance of multivariate analysis of analytical chemistry data. Curr Comput Aided Drug Des., 6:179-96.
3). Afendi F.M. et al., (2012) Systems biology approaches and metabolomics for understanding Japanese traditional Kampo medicine. Current Pharmacogenomics and Personalized Med., 10, 111-124.
4). 金谷重彦 et al., (2012) 我が国のデータベース構築・統合戦略、メタボロームデータベースの開発:メタボロミクスからのゲノミクスの展開, 細胞工学, 1, pp.101-104.
5). 金谷重彦 et al., メタボロームデータベース:多様な研究への対応とデータの共有化, 実験医学, 29, pp. 2460-2470.
6). 中村由紀子 et al., KNApSAcK Familyデータベース:メタボロミクスから展開する植物の多目的活用, バイオサイエンスとインダストリー, 70, pp.267-272.
7). 池田俊 et al., オミックス・プラットフォーム:バイオ・ビッグ・データに挑む、日本化学工学会 (90周年記念特集、印刷中) .