演題詳細


 

タ イ ト ル: 「まずは糖鎖研究に必要な技術開発、そして医療への応用
―産総研糖鎖センターのこれまでの挑戦」


発  表  者: 成松 久

所    属 : 産業技術総合研究所 糖鎖医工学研究センター

発 表 資 料 : 講演動画

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要    旨 :  我々は、糖鎖統合データベースであるJCGGDBのデータや機能の拡充と、統合化のための技術開発を行っている。最近、産総研からはマウスの糖タンパク質データベースを公開した。脳/大腸/心臓/腎臓/肝臓などのサンプルから、レクチン数種類を用いて糖タンパク質を捕集し、IGOT法により糖鎖の付加位置を同定した。また、立命館大学のGlycoEpitopeはこれまでに抗体585エントリー、エピトープ161エントリーの情報を公開した。そして、野口研と産総研から、有機化学の分野の研究者の協力を得て糖鎖合成のデータを収集し公開した。理研と野口研では、合成した糖鎖構造を分析できるようにNMR-DBの開発を行っている。立命館大学と産総研は、著名な研究者が実際に使用している実験プロトコル170題を公開した。
 これまでに、国内にある糖鎖に関連したDBを横断的に検索できるインターフェース、CFG単糖シンボルを利用して糖鎖構造を検索できる構造の統合インターフェース、化学構造を利用して糖鎖関連の構造検索インターフェースを開発した。
 現在、より連携・統合化を推進するために、日本の糖鎖のグループが働きかけ、世界中の主要な糖鎖構造DBのデータのRDF化とそれを活用したアプリケーションの開発を進めている。これと同時に産総研では、糖鎖に関連した論文やDBで表記されている糖鎖構造名とその構造の情報を整備し、JCGGDBで開発した各種DBに自動リンクさせるための技術開発を行っている。糖鎖研究領域特有の表記の揺らぎや別名を整備し、検索クエリや自動リンクの時の辞書を構築している。その表記の揺らぎなどを吸収できるやわらかい辞書を活用し糖鎖研究を始めたばかりの人から糖鎖科学を熟知した研究者まで幅広いユーザ層が直観的に検索できるための機能の充実を図っている。
 これらのすべての糖鎖DBは、糖鎖科学を基軸として医療面での診断・創薬を目指す研究にきわめて役立つに違いない。実際、我々はこれらのデータを活用して、疾患バイオマーカー開発に大いに役立てた。治療薬開発シーズに関する情報も多く含まれています。当日は具体例をあげて説明する。