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ポスター発表日程
ポスター発表は以下の日程で行います。
【10月4日(水)】
ライトニングトーク① 奇数番号 15:10 ~ 15:50
ポスター発表① 奇数番号 15:50 ~ 17:10
【10月5日(木)】
ライトニングトーク② 偶数番号 10:30 ~ 11:10
ポスター発表② 偶数番号 11:10 ~ 12:30
・掲示場所
【ポスター番号 1~44】
東京大学弥生講堂・アネックス セイホクギャラリー
【ポスター番号 45~80】
東京大学弥生講堂・一条ホール前 ギャラリー
ご覧ください。
※ポスターや発表スライド等の著作権は、別途記載がない限り発表者・発表者の所属機関に
帰属します。
ポスター・スライド内の図や文言を転用する際には、著作者と話し合っていただくよう
お願いいたします。
ポスター発表詳細(ポスター情報)
番 号 | 11 |
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タイトル | DDBJ |
発表者 | ○中村保一 |
所 属 | 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所DDBJセンター |
要 旨 | 本年開設30周年を迎えたDDBJ(http://www.ddbj.nig.ac.jp)はNCBI、EBI とともに International Nucleotide Sequence Database Collaboration(INSDC)を構成し塩基配列アーカイブと解析リソースの提供を実施している。INSDCの伝統的な配列DB(GenBank、ENA、DDBJ)は874万エントリー・2兆4千億塩基を超え、新型シーケンサ由来データDB のSequence Read Archive(SRA)は相互にデータ交換しているオープンアクセスデータとしては5千兆(5ペタ)バイトを超えるデータ量となっている。本ポスターでは明るい話題としてのDBCLSとの連携強化による開発状況について、またDDBJが直面する問題として中国BIG Data Centerの公開したSRAと同一のネームスペースを用いたGSAデータベース問題への対応など、DDBJの進捗と今後の展望などを紹介し議論する。 |
番 号 | 14 |
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タイトル | ChIP-Atlas: 公共ChIP-seqデータの統合データベース |
発表者 | ○沖真弥1)、大田達郎2)、塩井剛3)、畠中秀樹4)、小笠原理5)、奥田喜広5)、川路英哉6)、仲木竜7)、瀬々潤8) 目野主税1) |
所 属 | 1) 九州大学大学院 医学研究院 2)情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター 3) 理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター 4) 科学技術振興機構 バイオサイエンスデータベースセンター 5) 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所DDBJ センター 6) 理化学研究所 情報基盤センター 7) 東京大学 先端科学技術研究センター 8) 産業技術総合研究所 人工知能研究センター |
要 旨 | ChIP-seq は転写因子や修飾ヒストンの分布をゲノムワイドに理解するための強力な実験手法であり、これまでに約5万件以上の実験データがNCBI SRA に登録されている。しかし、その公共データを解釈するためには複雑なコマンド処理と大規模な計算資源が必要なため、その多くのデータが利活用されずに死蔵されているのが現状である。そこで我々はその公共ChIP-seq データを網羅的に収集、計算、統合し、その解析結果をウェブサービスとして公開している(ChIP-Atlas;http://chip-atlas.org)。これにより、興味のゲノム領域にどの転写因子が結合するかが視覚的に理解できる。また、興味の転写因子とゲノム上で共局在する因子や、その標的遺伝子を予測することも可能である。また我々はこの膨大なデータを統合的に解析した結果、組織特異的エンハンサーや、疾患と関連するnon-coding SNP の周辺において、高頻度に結合する転写因子を複数同定した。これらの知見は細胞運命決定機構や難病メカニズムの解明に活用できる。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p014 |
番 号 | 17 |
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タイトル | 生命科学研究のワンストップサービス:JBIポータルサイトの開設 |
発表者 | 〇箕輪真理1),2)、小野浩雅1)、金城玲3)、中村保一4)、畠中秀樹2) |
所 属 | 1) 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター 2) 科学技術振興機構 バイオサイエンスデータベースセンター 3) 大阪大学 蛋白質研究所日本蛋白質構造データバンク 4)情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所DDBJセンター |
要 旨 | JBI(Japan alliance for Bioscience Information)ポータルサイトは、DNA Data Bank of Japan(DDBJ)、日本蛋白質構造データバンク(PDBj)、バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)、ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)が提供する、生命科学研究の様々な場面で役立つデータベースやツールのサービスを1か所から発信するために開設されました。 巨大なデータセンターに生命科学データベースが集約されている米欧の状況に比べ、わが国では、データベースの共有に関する活動は、共有のためのプロジェクト実施機関(DBCLS やNBDC)および世界的なデータ共有の一翼を担ってきた機関(DDBJ, PDBj)などで、それぞれの役割や目的のもと実施されています。しかしこの状態はデータベースの利用者にとっては、非常にわかりにくく、使いにくいもので、データの利活用の大きな妨げになっていると思われます。本サイトは、そのような状況の改善を目指した「ワンストップサービス」の試みです。 http://jbioinfo.jp/ |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p017 |
番 号 | 18 |
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タイトル | GGGenome & CRISPRdirect:ゲノム編集の実験を支援するための塩基配列検索ツール |
発表者 | ○内藤雄樹、坊農秀雅 |
所 属 | 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター |
要 旨 | CRISPR/Cas9システムの実験を支援するウェブツールとして、われわれが公開している高速塩基配列検索GGGenome(http://GGGenome.dbcls.jp/)およびガイドRNA 設計ソフトウェアCRISPRdirect(http://crispr.dbcls.jp/)を紹介する。GGGenome は、20塩基程度の短い配列をゲノム全体から高速に検索できる。とくに、ミスマッチや挿入・欠失を含む配列であっても検索漏れがなく、ガイドRNA の特異性を確認するために役立つ。CRISPRdirect は、GGGenome による検索機能を利用することにより、特異性の高いガイドRNA を簡便に設計できるツールである。昨年以降のアップデートでは、ゲノム情報を拡充し、日本人基準ゲノムJRGv2、マウスゲノムMSMv3/JF1v2、CyanoBase に収録された多数のシアノバクテリアゲノム、各種の実験動植物や作物のゲノムを追加することにより総計約350種のゲノムに対応したほか、ガイドRNAの標的部位に制限酵素サイトがあるか確認できるようにするなど、利用者の要望をもとに機能の改良を行なった。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p018 |
番 号 | 21 |
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タイトル | CyanoBase: 大規模更新とユーザコミュニティ連携 |
発表者 | ○藤澤貴智、中村保一 |
所 属 | 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 |
要 旨 | CyanoBase(http://genome.microbedb.jp/cyanobase)は、1996年シアノバクテリアゲノム配列が決定されると共に、アノテーション情報を提示するためのデータベースとして開発され、このゲノム情報をより効率的に使用できるようにウェブサービスとして提供された。以降、いくつかのアップデートを経てCyanoBase は常に拡張され、20周年を迎えた昨年、セマンティック・ウェブ技術を用いたCyanoBase 更新系を整備すると共に、データベースの新しい大規模な更新について報告した。本発表では、継続的な更新整備およびコミュニティベースのアノテーションリソースの拡張・再利用に関するCyanoBase の最新動向について報告すると共に、ユーザコミュニティとの連携を図りながら、生物分類に関するメタデータについての拡張および藻類および植物ホロゲノムの研究への発展について議論したい。 [1] Fujisawa T et al. Nucleic Acids Res (2017) 45 (D1): D551-D554. doi: https://doi.org/10.1093/nar/gkw1131 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p021 |
番 号 | 22 |
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タイトル | 微生物統合データベースMicrobeDB.jpの高度実用化開発 |
発表者 | ○森宙史1)、藤澤貴智1)、鈴木真也2)、千葉啓和3)、東光一1)、神沼英里1)、西出浩世4)、矢口貴志5)、高橋弘喜5) 山田拓司2)、内山郁夫4)、中村保一1)、黒川顕1) |
所 属 | 1) 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 2) 東京工業大学 生命理工学院 3) 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター 4) 自然科学研究機構 基礎生物学研究所 5) 千葉大学 真菌医学研究センター |
要 旨 | 我々はこれまで、細菌の各種オミックス情報を広く収集し、遺伝子、ゲノム、環境の3つの軸に沿って様々な知識を整理し、ゲノム情報を核としてセマンティックウェブ技術により統合した統合データベース(DB)MicrobeDB.jp」を開発してきた。本DB のような、全データがRDF により記述され連結された巨大なグラフになった統合DB では、利用者には巨大グラフの全貌が不明であるため、巨大グラフをどのように辿ればどのような答えが出てくるかを想定できず、これまでのDB の利用形態を適用することが本質的に困難となる。そこで本研究開発では、徹底的なデータ統合および高度化は維持しつつ、「統合化されたデータをどのように渡り歩き、どのような新規知見を得るか」という統合DBの利活用方法の開発に重点を置き、MicrobeDB.jp の高度実用化を目指す。本ポスター発表では、利用者からのニーズが強くMicrobeDB.jp の高度実用化の上で重要な環境情報の統合化を中心に発表する。MicrobeDB.jpのWebサイト: (http://microbedb.jp) |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p022 |
番 号 | 23 |
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タイトル | 魚類ミトコンドリアゲノムデータベースMitoFish |
発表者 | ○岩崎渉1),2),3) |
所 属 | 1) 東京大学 大学院理学系研究科 2) 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 3) 東京大学 大気海洋研究所 |
要 旨 | 生物資源の適切な保全や生物多様性の管理のため、また生物進化の歴史の解明のため、遺伝的情報に基づいた精緻な議論が不可欠となっている。こうした目的のための遺伝情報源として、動物において非常に有用なのがミトコンドリアDNA 配列である。特に近年ではいわゆる次世代シーケンサが開発・実用化されたことで、ミトコンドリアDNA の全長であるミトコンドリアゲノム配列をこれまでにない規模で解読することが可能になってきた。MitoFishデータベースはこの背景のもと、我が国にとっての重要生物資源でもあり、水圏生物界で重要な位置を占める魚類について、ミトコンドリアゲノム配列情報を該当種魚類の生息水域や生活史の情報と同時に活用しやすい形で提供することを目的としたデータベースである。世界で唯一の魚類ミトコンドリアゲノムデータベースとして、基礎生物学、魚類の保全や分類、さらには食品素材となる魚類の識別のための情報源として多方面で活用されており、今後は各種の国際的データベースと連携をはかりつつ、魚類進化史の完全解明など魚類多様性の全貌を把握するデータベースとして完成させることを目指している。 Iwasaki et al., Mol. Biol. Evol., 30, 2531-2540. (2013) |
番 号 | 27 |
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タイトル | 天然変性タンパク質データベースIDEAL |
発表者 | ○太田元規1)、嘉戸裕美子1)、坂本盛宇2)、細田和男3)、小池亮太郎1)、廣明秀一4)、福地佐斗志3) |
所 属 | 1) 名古屋大学 大学院情報学研究科 2) (株)ホロニクス 3) 前橋工科大学 工学部 4) 名古屋大学 大学院創薬科学研究科 |
要 旨 | タンパク質の配列のうち、立体構造を形成しない部分を天然変性領域といい、天然変性領域を有するタンパク質を天然変性タンパク質という。天然変性タンパク質は、シグナル伝達・転写調節といった重要な生命活動に関与しているため、近年注目を集めている。我々は天然変性タンパク質データベースIDEAL(http://www.ideal.force.cs.is.nagoya-u.ac.jp/IDEAL/)を開発、運営している。天然変性領域の実験的証拠は、 PDB 立体構造のミッシング領域やNMR、CD といった手法により得られる。IDEAL では、機械的に得られるミッシング領域に加え、機械的に収集する事が難しいNMR,CD により確認された天然変性領域の情報を論文査読により収集している。また、IDEALでは天然変性領域中の機能部位をProSと呼び、特別に注釈付けを行っている。IDEAL には2017年6月現在、838配列、8,502天然変性領域、555Pros が収録されており、天然変性タンパク質のデータベースとして世界一の規模に成長した。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p027 |
番 号 | 28 |
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タイトル | Het-PDB Navi2: タンパク質-低分子複合体構造から得られる相互作用部位のデータベース |
発表者 | ○塩生真史、郷通子 |
所 属 | 長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部 |
要 旨 | タンパク質の機能予測や創薬のために、低分子化合物とタンパク質との相互作用部位の情報は有用である。ProteinData Bank には約13万の生体高分子の立体構造情報が登録されており(2017年6月現在)、これらには23,000種近くの低分子化合物とタンパク質の複合体情報が含まれている。このようなタンパク質との相互作用部位が明らかになっている低分子化合物のデータベースとしてHet-PDB Navi.を公開してきた[1]。今回我々は、Het-PDB Navi.のユーザーインターフェースを大幅に機能アップし、低分子化合物の名前や同義名による検索を容易に行えるHet-PDB Navi2を公開した[2]。また、Het-PDB Navi2では、Het-PDB Navi. で検索できた情報に加えて、低分子化合物の立体構造の観察や、類似の構造を持つ低分子化合物の取得のほか、低分子化合物との複合体構造において相互作用部位に存在するアミノ酸残基情報の取得が可能となっている。また、単一の低分子化合物、もしくは、類似の構造を持つ低分子化合物も含めた低分子化合物のグループについて複合体構造が一定数得られる場合には、その低分子化合物(または低分子化合物グループ)との結合に使われや
すいアミノ酸残基の情報についても取得可能である。この情報は、タンパク質の立体構造から低分子化合物の結合部位予測を行う基盤データとなる。本発表ではこれらの機能の詳細や今後の展望について報告する。 [1] A. Yamaguchi et al., J Biochem., 2004, 135:79-84 [2] http://hetpdbnavi.nagahama-i-bio.ac.jp/ |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p028 |
番 号 | 31 |
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タイトル | 糖鎖構造解析を支援するためのGALAXYデータベース |
発表者 | 〇矢木宏和1)、高橋禮子1)、加藤晃一1),2) |
所 属 | 1) 名古屋市立大学 大学院薬学研究科 2) 自然科学研究機構 岡崎統合バイオサイエンスセンター |
要 旨 | 糖鎖修飾は、主要な翻訳後修飾の一つである。糖鎖は分岐性、構造異性、構成残基の類似性から糖鎖の構造解析においては、DNA やタンパク質のような簡便なシーケンシング技術は存在しない。こうした状況下で、私たちは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用した糖タンパク質糖鎖の構造解析に着手し、これまでに600種類にのぼる糖鎖構造のHPLC の溶 出時間データを蓄積してきた。また、得られた糖鎖の溶出データをGALAXY データベース(http://www.glycoanalysis.info/galaxy2/)として公開することで、HPLC 溶出時間に基づいて糖鎖の構造解析を行うための基盤を整えることができている。本発表では、HPLC の溶出データに基づいた糖鎖構造の解析法を示すとともに、本糖鎖データベースの応用例について紹介したい。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p031 |
番 号 | 39 |
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タイトル | SSBD:生命現象の時空間動態に対する定量データと画像データの統合データベース |
発表者 | ○ホー・ケネス1)、京田耕司1)、遠里由佳子1),2)、大浪修一1) |
所 属 | 1) 理化学研究所 生命システム研究センター 2) 大阪電気通信大学 情報通信工学部 |
要 旨 | 統合データベースSSBD(Systems Science of Biological Dynamics database; http://ssbd.qbic.riken.jp)では、生細胞イメージングやモデリング技術により得られる多様な生命現象の時空間動態に対する定量データや画像データを格納・共有している(Tohsato et al. Bioinformatics 32, 2016)。定量データは BDMLで統一的に記述される。本年度は、データの大容量化に対応し高速なデータアクセスを実現するため、HDF5を基盤とする新しいデータ形式BD5で定量データ本体を記述し、これらのデータベースへの格納を完了した。我が国の細胞生物学および発生生物学分野で得られる画像データの定量化を促進するために、定量化が求められる20セット以上の新規画像データの格納を開始している。さらに、データベースシステムをDocker に移行することにより、システム開発の効率化を図った。SSBD で共有したデータはAPI を通してJupyter Notebookなどで読むことができ、今後のデータ再利用の促進が期待される。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p039 |
番 号 | 40 |
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タイトル | Integbioデータベースカタログの拡張 |
発表者 | ○信定知江1)、建石由佳1)、坂東明日佳1)、加藤健弘2)、大久保克彦2)、井上圭介3)、宮崎敦子1)、酒井智子1)、畠中秀樹1 |
所 属 | 1) 科学技術振興機構 バイオサイエンスデータベースセンター 2) 株式会社日立製作所 3)株式会社日立公共システム |
要 旨 | 「Integbio データベースカタログ(https://integbio.jp/dbcatalog)」は文部科学省・厚生労働省・経済産業省・農林水産省の連携のもと、主に国内で作成された生命科学系データベース(DB)の所在とその概要を提供することを目的として始まったサービスである。現在1600件を超える国内外の生命科学系DB 情報を収録している。さらに2016年秋よりFAIRsharing.org (https://fairsharing.org) と連携を開始し、日本国内で作成されたDB の情報を広く海外へ発信すると共に国外DB情報を効率的に収集するための基盤作りを進めている。2017年3月には、カタログから提供するDB 情報項目の追加・改修を行った。主な点としては、海外からの利用も視野に入れ、英語サイトに「DB description」の項目を追加した。また、ユーザが興味のあるDB をより探しやすくするための仕組みとして、各DBに付与した「説明」のテキストと「タグ」情報をベースとしてDB 間の類似度を算出し、各DBの「類似データベース」として提供を開始した。当日は今後のカタログの在り方についても議論したい。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p040 |
番 号 | 42 |
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タイトル | 臨床試験情報から探る難病創薬のトレンド |
発表者 | ○坂手龍一1)、深川明子1)、鈴木雅2)、松山晃文1) |
所 属 | 1)医薬基盤・健康・栄養研究所 2)日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所 |
要 旨 | 難病の多くは希少疾患であるが6,000以上の疾患があり、患者数はEU だけでも3,000万人に上る。その多くは発症機序が明らかでなく、治療法どころか診断基準が不確定であり、創薬の高いハードルとなっている。我々は疾患横断的な創薬トレンドを明らかにし、創薬ターゲット選定や発症機序解明を促進するため、臨床試験情報を解析した。まず、国内の指定難病306疾患(平成28年時点)を対象に、薬物などの情報から様々な適応拡大の動向を明らかにした[1- 3]。そして、疾患名などによる対応付けにより、国外希少疾患DB[4]との情報連結を実施した[5]。これらをDB 化し、実験動物・疫学研究・バイオバンクなどの情報[6,7]と合わせて活用を図っている。 [1]「 指定難病に対する臨床試験実施状況」政策研ニュースNo.48( H28.7) [2]「 指定難病に対する臨床試験の実施者」同No.49( H28.11) [3]「 指定難病の臨床試験に用いられる上市医薬」同No.50 (H29.3) [4] Orphanet http://www.orpha.net [5]「 指定難病情報のデータベースとの連結」同No.49( H28.11) [6] メディカル・バイオリソース・データベース https://mbrdb.nibiohn.go.jp [7] 創薬支援データベース統合検索 https://alldbs.nibiohn.go.jp |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p042 |
番 号 | 43 |
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タイトル | 創薬・疾患研究のためのデータベース検索システム Sagace |
発表者 | ○樋口千洋1)、長尾知生子1)、五十嵐芳暢2)、森田瑞樹1),3)、陳怡安1)、深川明子4)、坂手龍一5)、水口賢司1) |
所 属 | 1)医薬基盤・健康・栄養研究所 バイオインフォマティクスプロジェクト 2)同研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト 3)岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 4)医薬基盤・健康・栄養研究所 政策・倫理研究室 5)同研究所 難病資源研究室 |
要 旨 | 医薬基盤・健康・栄養研究所では、JST バイオサイエンスデータベースセンターと連携し、データベース横断検索システムSagace(http://sagace.nibiohn.go.jp)を開発・公開している。Sagaceは、創薬・疾患に特化した約190のデータベースを選定・分類して検索対象とし、ファセット(データベースの分類)による検索結果の効率的な絞り込みと、メタデータ(データに関する事項を記述したデータ)を反映した効果的な検索結果の表示を実装した検索システムで、一般的な横断検索システムよりも創薬・疾患研究に関する情報を効率的に発見できる。 今年度は、昨年度に強化した臨床情報に加え、薬理、薬物動態、毒性などの非臨床情報についても検索機能を強化するために、各製薬会社が公開している医薬品の審査資料などを検索対象に加えることを進めている。さらに同義語展開機能の強化も行なうことで、より効率的に創薬・疾患研究を支援する検索システムの構築を目指している。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p043 |
番 号 | 46 |
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タイトル | がん関連疾患遺伝子/タンパク質相互作用データベースCancerProView |
発表者 | ○満山進 |
所 属 | 慶應義塾大学 医学部 |
要 旨 | がん関連遺伝子とその周辺に関する遺伝子と疾患の解明のため、がん関連遺伝子/タンパク質の相互作用データベースシステムCancerProView の開発を行っている[Mitsuyama S and Shimizu N, Genomics.100:81(2012)]。CancerProView は、Internet Explorer、Firefox、Google Chrom などのWeb ブラウザで検索できるように作成されて おり、2006年よりインターネット上(http://cancerproview.dmb.med.keio.ac.jp/)で公開されている。機能としては、1:がん関連遺伝子とタンパク質のパスウェイ、ドメインと関与する疾患のグラフィカル表示、2: 多型を含む遺伝子変異のグラフィカル表示、3: 画像表示からのOMIM, Pubmedへのリンク、4:共通なドメイン構造をもつタンパク質の検索、5: 遺伝子記号からの検索、6: タンパク質ドメイン名一覧からの検索、7: がん関連疾患一覧と遺伝子の対応表からの検索などが実装されている。これらの機能によりCancerProViewは、がんの診断、治療、予防の分野に貢献すると考えられる。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p046 |
番 号 | 48 |
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タイトル | Mutation@A Glance: ヒト遺伝子バリアント統合可視化ツール |
発表者 | ○土方敦司、白井剛 |
所 属 | 長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部 |
要 旨 | 高速シークエンサーの普及により、これまで不明とされてきた遺伝子疾患の原因変異の特定が容易になりつつある。それに伴い、影響が不明なバリアント(VUS)も多数見つかるようになってきており、遺伝子上の変異と表現型とがどのように関係しているかを分子レベルで理解することが大きな課題となっている。この目的のためには、塩基配列だけでなく、その遺伝子がコードするタンパク質の構造及び機能情報の活用が大いに役立つ。我々は、ヒト遺伝子バリアントの情報を、ゲノムからタンパク質立体構造複合体までを一気通貫で可視化するツールMutation@A Glance を開発した。このツールは、現在公開されている種々のヒトバリアントデータベース(dbSNP, ClinVar, OMIM, COSMIC, ExAC, JGVDなど)のデータを統合し、ゲノム配列、アミノ酸配列及びタンパク質立体構造上で可視化する。ユーザーが自身の興味のある遺伝子変異について、タンパク質の機能あるいは構造へ与える影響について解析することができる。本発表では、このツールを活用した遺伝子疾患変異の機能解析について事例を交えて紹介する。 URL: http://harrier.nagahama-i-bio.ac.jp/mutation/ |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p048 |
番 号 | 49 |
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タイトル | 公共オミックスデータ検索とそれを活用したデータ解析支援 |
発表者 | ○坊農秀雅 |
所 属 | 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター |
要 旨 | DBCLSは国際塩基配列データベースを運営しているDNA Data Bank of Japan(DDBJ)と連携し公共オミックスデータのレポジトリ DDBJ Omics aRchive(DOR)の構築にも関わっている。これまで長年にわたって維持管理してきた遺伝子発現目次(http://aoe.dbcls.jp/)を発展させてDOR の検索システムにも使えるようにし、各自のオミックス研究に大量塩基配列データを活用できるように検索ツール開発を行っている。ただツールを作成しただけでは使われにくいため、構築した検索システムをフル活用した研究支援にも取り組んでいる。以下の参考論文で活用された疾患モデルにおけるオミックスデータ解析実例に関して報告する。 [1] Okamoto A et al. Scientific Reports 7:3816 (2017) doi:10.1038/s41598-017-03980-7 [2] Kikuchi A et al. BMC Genomics 18:83 (2017) doi:10.1186/s12864-016-3455-y |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p049 |
番 号 | 50 |
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タイトル | jMorp: 日本人多層オミックス参照パネル |
発表者 | ○田高周1)、小柴生造1),2)、三枝大輔1),2)、加藤恭丈1)、井上仁1)、元池育子1),3)、城田松之1),2),3) 青木裕一1),3)、木下賢吾1),3)、山本雅之1),2) |
所 属 | 1)東北メディカル・メガバンク機構 2)東北大学 大学院医学系研究科 3)東北大学 大学院情報科学研究科 |
要 旨 | 血液中の代謝物やタンパク質の中には、種類や濃度が個人間で異なるものや、また、個人内においても加齢や疾患の有無で濃度が変化するようなものがある。そのような血液中の化合物は疾患バイオマーカーと呼ばれることがあり、疾患予防や早期診断を行う際に有用な情報源になり得る。 東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)では東北メディカル・メガバンク事業における地域住民コホート調査に参加いただいた日本人1008人(男性433人、女性575人)の血漿サンプルの統合解析を行い、日本人集団における血漿中の代謝物の濃度分布やタンパク質の頻度分布を明らかにした。この解析結果はjMorp(Japanese Multi Omics Reference Panel; https://jmorp.megabank.tohoku.ac.jp)にて公開している。 2017年6月現在では、NMR で同定された37化合物の濃度分布、LC-MS で検出された257代謝物のピーク強度分布、加えて256タンパク質(男性190人, 女性311人)の測定頻度を公開している。 今後、解析サンプル数の増加や同定物質の種類を増加することでパネルの精度向上を目指し、また、ゲノム情報等との関連解析を行うことでデータベースコンテンツの拡充を図る。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p050 |
番 号 | 53 |
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タイトル | dbHERV-REs:ヒト内在性レトロウイルス由来転写調節エレメントデータベースの構築 |
発表者 | 伊東潤平1),2)、○杉本竜太2)、中岡博史2)、山田思郎3)、木村哲晃2)、早野崇英4)、井ノ上逸朗1),2) |
所 属 | 1)総合研究大学院大学 生命科学研究科 2)情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 3)東海大学 医学部付属大磯病院 4)山口大学 大学院医学系研究科 |
要 旨 | トランスポゾンの一種であるヒト内在性レトロウイルス(HERV)は、配列中に転写調節エレメントを有しており、挿入部位近傍の遺伝子発現調節に様々な影響を与える。我々は公的データベースに蓄積したChip-Seqのデータを再解析することで、こうしたHERV由来転写調節エレメント(HERV-RE)を網羅的に同定した。また、これらHERV-REを搭載したデータベースdbHERV-REs(http://herv-tfbs.com)を開発した。本データベースは、1)HERV の系統的分類、コピー数、挿入年代等の基礎情報、2)HERV-REのヒトゲノム上およびHERVコンセンサス配列上における位置情報、および3)HERV-RE近傍の遺伝子群を用いて行ったGene Ontologyエンリッチメント解析の結果を提供する。本データベースにより、遺伝子転写調節におけるHERV-REの役割を解明するための研究基盤を提供したい。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p053 |
番 号 | 54 |
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タイトル | GA4GH Genomics API によるマルチオミクスデータ統合検索 |
発表者 | ○河野信1)、鈴木穣2)、菅野純夫2) |
所 属 | 1)情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター 2)東京大学 大学院新領域創成科学研究科 |
要 旨 | 近年、希少疾患や癌の診断においてゲノム情報が利用されるようになってきた。これらを研究や治験、効率的な治療に応用するためには、データを共有することが重要である。ゲノム情報を国際的に共有するための仕組みとしてGlobal Alliance for Genomics and Health(GA4GH)ではGenomicsAPI を提供している。GenomicsAPI では変異の情報を共有することに主眼をおいているが、変異だけでなくエピゲノムや遺伝子発現(以下、マルチオミクス)の情報も統合的に共有できれば、より粒度の細かいデータを研究・診断・治療に利用できる。そこで、ここではGenomicsAPI のデータモデルを拡張し、マルチオミクスデータに対応させた。サンプルデータとしてKERO データベース(http://kero.hgc.jp/)に収録されている肺腺がん由来26細胞から得られたマルチオミクスデータを利用し、これらをVCF 形式に変換してGenomicsAPI リポジトリに登録した。この結果、変異を含むマルチオミクスデータのGA4GH GenomicsAPI を利用した統合検索が可能となった。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p054 |
番 号 | 56 |
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タイトル | 各種レポジトリに登録されたメタデータを収集したOmicsDIのRDF化 |
発表者 | ◯河野信1)、Yasset Perez Riverol2)、Tobias Ternent2)、守屋勇樹1)、Eric Deutsch3)、Michel Dumontier4) Juan Antonio Vizcaino2)、Henning Hermjakob2)、五斗進1) |
所 属 | 1)情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター 2)European Molecular Biology Laboratory, European Bioinformatics Institute (EMBL-EBI), Hinxton, Cambridge, United Kingdom 3)Institute for Systems Biology (ISB), Seattle, USA 4)Institute of Data Science, Maastricht University, Maastricht, Netherlands |
要 旨 | Omics Discovery Index (OmicsDI, http://www.omicsdi.org/) は、各種オミクスデータリポジトリ(ゲノム:Ensembl, EGA、トランスクリプトーム:ArrayExpress, ExpressionAtlas、プロテオーム:GPMDB, MassIVE, PeptideAtlas, PRIDE、メタボローム:GNPS, MetaboLights, MetabolomeExpress, Metabolomics Workbench)に収録されているデータセットのメタデータを提供している。ここではOmicsDIのメタデータならびにデータセットに含まれるリンク(遺伝子やタンパク質エントリなど)をRDF化し、統合検索システムを構築した。2016年10月時点で約8万件のデータセットが登録されており、これらをRDFに変換し、トリプルストアに格納した。この結果、各種オミクスデータセットを横断的に検索可能になっただけではなく、これらのデータセットと紐付いているUniProtエントリやPubChemエントリ、PubMed文献などからもマルチオミクスのデータセットが検索可能となった。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p056 |
番 号 | 57 |
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タイトル | jPOST:プロテオーム統合データベースプロジェクト |
発表者 | ○奥田修二郎1)、渡辺由1)、守屋勇樹2)、河野信2)、山本格3)、松本雅記4)、高見知代4)、小林大樹5)、荒木令江5) 吉沢明康6)、田畑剛6)、杉山直幸6)、田中聡7)、五斗進2)、石濱泰6) |
所 属 | 1) 新潟大学 大学院医歯学総合研究科 2) 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター 3) 新潟大学 生体液バイオマーカーセンター 4) 九州大学 生体防御医学研究所 5) 熊本大学 大学院生命科学研究部 6) 京都大学 大学院薬学研究科 7)Trans-IT |
要 旨 | 異なる実験由来のプロテオームデータを統合し、統一された信頼基準で結果を解釈するために、jPOST(Japan ProteOme STandard Repository/Database, http://jpostdb.org/)では、質量分析装置から出力される生データを含む、プロテオームデータを投稿・蓄積するためのリポジトリ、生データを再解析するための標準化されたワークフロー、再解析後の高品質なプロテオームデータを蓄積・可視化するデータベースの3つを開発している。jPOST リポジトリは独自の高速アップロードシステムを開発し、昨年5月に一般公開、7月には国際標準のデータリポジトリシステムを提供するProteomeXchange コンソーシアムに正式加盟して、現在あらゆるプロテオームデータが蓄積されつつある。これらの生データから、より多くのプロテオーム情報を高精度に抽出する再解析ワークフローの開発も進行中である。データベース部分は、他の生命科学データベースとの相互利用を考慮しRDFを元に設計されており、ユーザーからのリクエストに対して様々な切り口で解析が出来るようなシステムとして開発されている。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p057 |
番 号 | 58 |
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タイトル | jPOST: メタデータのキュレーション |
発表者 | ◯小林大樹1)、荒木令江1)、奥田修二郎2)、渡辺由2)、守屋勇樹3)、河野信3)、山本格4)、松本雅記5)、高見知代5) 吉沢明康6)、田畑剛6)、杉山直幸6)、田中聡7)、五斗進3)、石濱泰6) |
所 属 | 1) 熊本大学大学院生命科学研究部 2) 新潟大学 大学院医歯学総合研究科 3) 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター 4) 新潟大学 産学地域連携推進機構生体液バイオマーカーセンター 5) 九州大学 生体防御医学研究所 6) 京都大学 大学院薬学研究科 7)Trans-IT |
要 旨 | jPOST(Japan ProteOme STandard Repository/Database, http://jpostdb.org/)は、ヒト、および様々な生物種由来のプロテオームデータを統合し、統一された再解析プロトコルによって信頼性の高い結果を集積して、より精度の高いデータベースを構築することを目的としている。プロテオームデータは実験研究者からメタデータが付加された形でリポジトリへと登録され、データベースに利用される。リポジトリに蓄積されたデータを、データベースで利用していくには、生データがどのような実験手順を踏んで得られたものか正確にトレースし、メタデータとして情報を整理していくことが必要となる。我々は、ヒト臓器、疾患、モデル生物サンプル、およびタンパク質定量、翻訳後修飾などのプロテオーム解析にて導き出されるデータに焦点を当て、ユーザーからのサンプルおよび解析手法に関するメタデータをキュレーション(精査、および修正)し、データベースに有益な情報としている。また、メタデータの用語を正確に統制することで、ユーザー側の視点で整備された情報の提供を目指している。本発表では、実際のキュレーション方式と状況について報告する。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p058 |
番 号 | 59 |
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タイトル | jPOST:再解析プロトコルによる同定結果の質的向上 |
発表者 | ○吉沢明康1)、田畑剛1)、守屋勇樹2)、河野信2)、奥田修二郎3)、渡辺由3)、山本格4)、松本雅記5)、高見知代5) 小林大樹6)、荒木令江6)、杉山直幸1)、田中聡7)、五斗進2)、石濱泰1) |
所 属 | 1) 京都大学 大学院薬学研究科 2)情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター 3) 新潟大学 大学院医歯学総合研究科 4) 新潟大学 生体液バイオマーカーセンター 5) 九州大学 生体防御医学研究所 6) 熊本大学 大学院生命科学研究部 7)Trans-IT |
要 旨 | プロテオーム統合データベース『jPOST』計画(Japan ProteOme STandard Repository/Database, http://jpostdb.org/)では、タンパク質同定結果リストではなく、生データであるマススペクトルデータをjPOST リポジトリから収集し、独自に再解析して、その結果をデータベースに収録する。そのためには、false negative 及びfalse positiveの両者を最大限抑制することが必要である。前者に対しては、「ピーク検出」と「データベース検索」の両方の段階で複数のアルゴリズムを併用する戦略を採用し、単一アルゴリズムに基づく場合と比べてタンパク質同定数を増加させることに成功した。次にfalse positive 低減のための手法として、サーチエンジンに依存しないマススペクトル解釈結果のスコア化を行った。本手法をtarget-decoy 法によって検証した結果、通常の検索結果に比べてアサイン結果が1割以上増加することが確認できた。本発表では、スコア化の効果と、データベース構築に利用するための改良について報告する。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p059 |
番 号 | 61 |
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タイトル | jPOST: タンパク質発現絶対量sliceの開発 |
発表者 | ○松本雅記1)、高見知代1)、守屋勇樹2)、河野信2)、奥田修二郎3)、渡辺由3)、山本格4)、小林大樹5)、荒木令江5) 吉沢明康6)、田畑剛6)、杉山直幸6)、田中聡7)、五斗進2)、石濱泰6) |
所 属 | 1) 九州大学生体防御医学研究所 2)情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター 3) 新潟大学 大学院医歯学総合研究科 4) 新潟大学 生体液バイオマーカーセンター 5) 熊本大学 大学院生命科学研究部 6) 京都大学 大学院薬学研究科 7)Trans-IT |
要 旨 | jPOST(Japan ProteOme STandard Repository/Database, http://jpostdb.org/)では質量分析計で取得したプロテオームデータを集約して、様々な切り口でデータを可視化(=slice を作成する)することを目指している。近年、multiple reaction monitoring(MRM)/selected reaction monitoring(SRM)を用いたターゲットプロテオミクスによって個々のタンパク質の絶対量(細胞内コピー数や濃度など)の算出が可能になっている。また、従来から実施されてきたdata-dependent acquisition(DDA)による網羅的・半定量的なプロテオームデータであっても、タンパク質の発現量を擬似的に絶対値として示すことも可能になってきる。しかしながら、タンパク質の発現絶対量を算出するためには、分析に使用したタンパク質量や内部標準の濃度、細胞あたりのタンパク質量など新たなメタデータの登録フォーマット作成と質量分析の手法や目的に応じた絶対量算出ワークフローの確立などの開発が必須である。今回、主に内部標準を用いたMRM法で得られたデータ登録と絶対量算出のためのワークフローを確立した。さらに、jPOST データベースカスタム化ツールを用いて、パスウェイ構造の定量的可視化を行い、jPOSTsliceデータベースとして登録したので報告する。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p061 |
番 号 | 62 |
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タイトル | ダイズプロテオームデータベース: 電気泳動を基盤にした手法と質量分析計を基盤にした手法から得られたタンパク質データの統合 |
発表者 | ○坂田克己1)、大柳一2)、杉本和彦3)、小松節子4) |
所 属 | 1)前橋工科大学 2)King Abdullah University of Science and Technology 3)次世代作物開発研究センター 4)筑波大学 |
要 旨 | ダイズは、消費量が穀類に次いで4番目であり、油糧用・バイオ燃料用としても重要な作物である。本研究では、機能解明研究に広く利用可能なダイズプロテオームデータベースを構築・公開し、ダイズ遺伝子発現の包括的な研究の促進に資する。本データベースは、2008年に公開されその後改良を重ねてきた[1,2]。このたび、電気泳動を基盤にしたプロテオミクスと
質量分析計を基盤にしたプロテオミクス解析技術を用いて得られたダイズタンパク質データを統合したので報告する[3]。ダイズのさまざまな生育時期の各種器官と細胞内小器官から得られたタンパク質データを格納している。さらに、ダイズはストレスに弱い作物であることより、各種ストレス下で変動するタンパク質群のデータを公開することにより、ストレス応答機構解明および対策研究の促進のための基盤情報を提供する。 本データベースはhttp://proteome.dc.affrc.go.jp/Soybean/より公開している。 [1] Sakata et al., J Proteome Res, 2009, 8:4766-4778. [2] Ohyanagi et al., Front Plant Sci, 2012, 3:110. [3] Komatsu et al., J Proteomics, 2017, on line. |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p062 |
番 号 | 63 |
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タイトル | 遺伝子発現リファレンスデータセット RefEx |
発表者 | ○小野浩雅、坊農秀雅 |
所 属 | 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター |
要 旨 | RefEx(Reference Expression dataset; http://refex.dbcls.jp/ )は、4つの異なる実験手法(EST、GeneChip、CAGE、RNA-seq)によって得られた40種類の正常組織における遺伝子発現量を並列に表現することで、手法間の比較とともに各遺伝子の発現量を直感的に比較することが可能なリファレンスデータセットである。RefEx は、種々のID や遺伝子名、キーワードで検索できるのはもちろんのこと、任意のID セットについても複数同時に指定して検索することができ、ある特定の検索結果を指定して得ることが容易である。また、検索結果一覧からユーザが任意で選択した遺伝子について「リスト」に追加・保持する機能を利用することで、それらの詳細情報について一画面で並列に比較することが可能である。現在、FANTOM5 CAGEデータを始めとしたRDF化されている遺伝子発現データセットに対応する遺伝子発現データビューアの開発を進め、ウェブサイト全体のリニューアルを計画している。それらの進捗等をふまえ、開発の方向性について議論したい。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p063 |
番 号 | 65 |
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タイトル | 脳トランスクリプトームデータベースBrainTx ‐脳神経遺伝子発現情報の統合化‐ |
発表者 | ○佐藤明1)、山口陽子2)、古市貞一1) |
所 属 | 1) 東京理科大学 理工学部 2) 理化学研究所 脳科学総合研究センター |
要 旨 | Brain Transcriptome Database(BrainTx)(http://www.cdtdb.neuroinf.jp)は、哺乳動物の脳神経系の様々な局面(発達、老化、生理機能、行動、疾患など)の遺伝的基盤となるトランスクリプトーム情報とそれらと関連する神経科学情報を、可視化や解析可能な情報に体系化した脳神経遺伝子発現情報の統合的なデータベースである。今現在BrainTx には、ISH法による脳組織mRNA 分布画像(脳領域および細胞発現情報)、DNA マイクロアレイ解析による発達期脳の時系列発現情報や脳を含む臓器別発現情報(脳特異的発現情報)などの時空間的な遺伝子発現データが搭載されている。さらに我々は、脳詳細領域、生理条件、年齢、行動、疾患等を含む様々なステージや状態のトランスクリプトーム情報のビッグデータを収集し、神経科学の多分野情報と関連させてBrainTx に取り込み、検索可能な形式でデータベース化することを目指している。BrainTxで得られるこれらの多種多様な神経関連情報は、脳神経系やその多様な神経プロセスを支える多くの遺伝子やネットワークのメカニズムを理解するのに役立つと考えられる。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p065 |
番 号 | 66 |
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タイトル | 「SilkBase」カイコとその近縁種のトランスクリプトーム統合データベース |
発表者 | ○川本宗孝、勝間進、木内隆史、嶋田透 |
所 属 | 東京大学 大学院農学生命科学研究科 |
要 旨 | SilkBase(http://silkbase.ab.a.u-tokyo.ac.jp)は、世界最高精度のカイコとその近縁種(クワコ・イチジクカサン・テンオビシロカサン・エリサン)のトランスクリプトーム統合データベースである。 SilkBase には、トランスクリプトーム情報として、最新のゲノム情報から得られた予測遺伝子、RNA-seq のデータをde novo assemblyした配列、完全長cDNA等とそれらのアノテーション情報が登録されている。また、PIWI-interacting RNA (piRNA)経路を完全な形で保持しているカイコ卵巣由来の培養細胞BmN-4はpiRNA の研究材料として有用であるため、カイコ以外の研究者の利用を見込んで様々な組織や培養細胞由来のpiRNA 配列も登録されている。一方、ゲノム情報として、カイコ標準系統の最新のゲノムだけでなく、多系統のゲノムやクワコゲノム、Fosmid やBAC クローン配列等が登録されている。更に、エピゲノム情報として修飾ヒストンやヘテロクロマチンタンパク質に関するChIP-seq データが登録されている。SilkBase には高度な検索機能が付加されている上、膨大なデータがゲノムブラウザーで統合・可視化されており、多くの情報を一目で把握可能になっている。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p066 |
番 号 | 68 |
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タイトル | 植物ゲノム統合データベースPGDBjの構築 |
発表者 | ○平川英樹1)、Jeffrey Fawcett1)、中谷明弘2)、市原寿子2)、柴谷多恵子1)、浅水恵理香3)、白澤沙知子1) 中村保一1)、磯部祥子1)、田畑哲之1) |
所 属 | 1) かずさDNA 研究所 2) 大阪大学 大学院医学系研究科 3) 龍谷大学 農学部 |
要 旨 | 現在、モデル植物や実用作物など多種多様な植物種のゲノム配列が解読されている。散在するDB やDNA マーカーなど様々な植物ゲノム関連情報を有機的に統合した情報基盤を構築し、ユーザが必要とする情報を迅速に入手することができるポータルサイトPlant Genome DataBase Japan(PGDBj, http://pgdbj.jp)の開発を進めている。オルソログDB では、緑色植物40種とラン藻213種のオルソログ関係を定義し、植物リソースDB では、14生物種のcDNA やゲノム配列などのリソース情報を検索できる。DNA マーカーDB では、65植物種約26万件のDNA マーカー、45種約1万6千件のQTL情報を公開した。今期は、種、属、科など様々な階層間のゲノム関連情報を比較でき、特定の種で得られた知見を他の種で参照できる基盤を構築する。これまでに収集した情報に加え、ゲノムワイド多型情報をゲノムブラウザに集約させたゲノム横断的関連情報サイトの開発、遺伝子配列類似性に基づいたデータリンク基盤の構築、ユーザ自身がNGS データを投入し解析できるカスタム型多型・ハプロタイプ検出システムの構築を目指す。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p068 |
番 号 | 69 |
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タイトル | 種を超えたゲノム情報統合のためのデータリンク基盤の構築 |
発表者 | ○市原寿子1)、菊地正隆1)、長谷川舞衣1)、小原光代2)、平川英樹2)、磯部祥子2)、田畑哲之2) 、中谷明弘1) |
所 属 | 1)大阪大学 大学院医学系研究科 2)かずさDNA研究所 |
要 旨 | Plant Genome DataBase Japan(PGDBj, http://pgdbj.jp)において、遺伝子のアミノ酸配列間の類似性とゲノム上の位置情報に基づき、各植物ゲノムデータベースのエントリー同士を繋ぐ基盤となるデータセットを構築する。このデータセットの利用により、複数生物種間で機能が同じ或いは類似する遺伝子候補の提示や、それらの遺伝子の染色体上での並び方が保存されているシンテニー様領域の検出等が可能になる。2017年7月現在、100種以上の植物のゲノム情報が公開されており、この中から、かずさDNA 研究所でゲノムを決定した植物を含む合計25種を対象としてBLAST によるアミノ酸配列の相同性検索を実施する。また、将来的な遺伝子配列の追加や修正作業を軽減する為、全配列間の類似性の計算を回避する手法を開発する。配列間の類似指標の閾値に基づき、類似した配列同士のグループを生成する。類似配列のグループ毎の特徴量として、コンセンサス配列や位置特異的スコア行列、プロファイル等の抽出と蓄積を行う。それらの特徴量同士の類似度を経由して、複数の系統群を跨って遺伝子グループを繋ぐシステムを構築する。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p069 |
番 号 | 70 |
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タイトル | 植物オルガネラ画像のデータベースPODBの構築と改良の取り組み |
発表者 | ○真野昌二1),2)、中村貴宣3)、三輪朋樹3)、西川周一4)、三村徹郎5)、長谷あきら6)、西村幹夫7) |
所 属 | 1)基礎生物学研究所 多様性生物学研究室 2)総合研究大学院大学 生命科学研究科 3)基礎生物学研究所 情報管理解析室 4)新潟大学 理学部 5)神戸大学 大学院理学研究科 6)京都大学 大学院理学研究科 7)基礎生物学研究所 細胞生物学領域 |
要 旨 | イメージング技術の著しい進展により、非常に多くの画像データが生み出されている。我々は、こうした画像データを植物オルガネラ研究に有効活用させるべく、オルガネラの静止画や動画を収集したThe Plant Organelles Database(PODB)を構築してきた。現バージョンのPODB3(http://podb.nibb.ac.jp/Organellome/)は、静止画を集めたOrganellome Database、動画を収集したOrganelles Movie Database、外部からの刺激に応答したオルガネラの挙動を集めたPerceptive Organelles Database、電子顕微鏡写真に対応したElectron Micrograph Database、およびオルガネラ研究用のプロトコールを集めたFunctional Analysis Database から構成されている。また、オルガネラ研究と植物科学の重要性を理解していただくことを目指したウェブサイトPlant Organelles World も構築し、広く一般の方に公開している。本発表では、PODB3およびPlant Organelles World構築と改良の取り組みについて紹介する。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p070 |
番 号 | 71 |
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タイトル | ppdb, Plant Promoter Database |
発表者 | 楠和隆1)、○山本義治1),2),3) |
所 属 | 1)岐阜大学 大学院連合農学研究科 2)岐阜大学 応用生物科学部 3)理化学研究所 環境資源科学研究センター |
要 旨 | 植物の転写制御は形態形成や環境適応などの根幹的な生命活動を支配している。私達は転写制御の研究を進めるツールとしてプロモーター構造を表示するPlant Promoter Database(ppdb, http://ppdb.agr.gifu-u.ac.jp)を開発、運営している。基盤となる情報の多くは実験解析及び情報解析により調製されたオリジナルなものである。ppdb が対応している植物種はシロイヌナズナ、イネ、ポプラ、ヒメツリガネゴケである。 Kusunoki K, Yamamoto YY(2016) ppdb, Plant Promoter Database. van Dijik, Aalt-Jan (ed) "Plant Genomics Databases", in Methods in Molecular BIology 1533: 299-314, Springer, Dordrecht.DOI: 10.1007/978-1-4939-6658-5. Hieno A, Naznin HA, Hyakumachi M, Sakurai T, Tokizawa M, Koyam H, Sato N, Nishiyama T, Hasebe M, Zimmer AD, Dang D, Reski R, Rensing S, Obokata J, Yamamoto YY (2014) Nucleic Acids Res 42: D1188-1192. |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p071 |
番 号 | 72 |
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タイトル | 植物におけるタンパク質の総合アノテーションデータベースの開発 |
発表者 | 〇黒谷篤之1)、Alexander A. Tokmakov2)、山田豊1)、篠崎一雄1)、櫻井哲也1),3) |
所 属 | 1) 理化学研究所 環境資源科学研究センター 2) 京都産業大学 総合生命科学部 3) 高知大学 複合領域科学部 |
要 旨 | 近年、広範な生物種についてのゲノム解読が急速に進められており、その蓄積された塩基配列のデータ量は膨大となっている。また、これらのゲノム配列情報を有効に活用すべく、種々のポストゲノム解析も盛んに行われている。しかしながら、植物種におけるタンパク質全般の情報量は、動物や微生物等と比べて劣っており、植物の中で最も解析がされているシロイヌナズナであってもそのタンパク質の構造や機能についての注釈情報は、未だ不十分な状況である。そこで、我々は、植物種におけるこれらの欠落部分に対し、生物情報科学的なデータ生産手法によって情報の補充をすべく、ゲノム解読がされた代表的な6種の緑色植物、及び、31種の藻類について、これらのタンパク質配列データから、種々の構造的、機能的情報等を計算によって網羅的に求め、得られた結果を統合し、植物におけるタンパク質情報の総合アノテーションデータベースを作成した(http://plant-pras.riken.jp, http://alga-pras.riken.jp)。今発表では、作成したデータベースを紹介すると共に得られたデータについての概観やその応用等について報告する。 [1] Kurotani A. et al. Plant Cell Physiol. (2017), Jan 1;58(1):e6 [2] Kurotani A. et al. Plant Cell Physiol. (2015), Jan;56(1):e11 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p072 |
番 号 | 73 |
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タイトル | 生薬国産化へ ―薬用植物総合情報データベースの構築― |
発表者 | ○河野徳昭、川原信夫 |
所 属 | 医薬基盤・健康・栄養研究所 薬用植物資源研究センター |
要 旨 | 昨今の漢方薬への関心の高まりに伴い、その原料となる生薬の需要が増大している。生薬の基原植物は海外からの輸入への依存度が高く、その国内栽培化は喫緊の課題となっている。医薬基盤・健康・栄養研究所 薬用植物資源研究センターでは、植物、生薬、漢方薬に関する正しい情報を広く提供し、薬用植物資源及び生産関連技術を国民の健康増進に活用する一助とするため、漢方薬に用いられる生薬及びそれらの基原植物に関する情報を集積する「薬用植物総合情報データベース(MPDB:http://mpdb.nibiohn.go.jp)」の整備を進めている。MPDB は、製薬企業・団体、大学、研究機関等の協力を得、国内市場に流通する生薬を試料とした成分、遺伝子、生理活性等の実データに加え、基原植物の栽培法や効率的増殖法、さらには生薬及び生薬関連製剤の国際標準化に関する情報等、広範な情報を収載することを特徴とする。本発表においては、MPDB 構築を基幹とする、高品質な生薬の安定供給並びに国内栽培化を志向したセンターの取り組みについて紹介する。 *本研究は、日本医療研究開発機構研究費(創薬基盤推進研究事業)「薬用植物栽培並びに関連産業振興を指向した薬用植物総合情報データベースの拡充と情報整備に関する研究」の一環として実施した。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p073 |
番 号 | 74 |
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タイトル | モデル生物表現型の統合データベース J-Phenome |
発表者 | ○桝屋啓志1)、高月照江1)、高山英紀1)、佐藤道比古1)、谷川紀子1)、野村麻美1)、田中信彦1)、小林紀郎1),2) |
所 属 | 1)理化学研究所 バイオリソースセンター 2)理化学研究所 情報基盤センター |
要 旨 | 我々は、国内から公開されているモデル生物の表現型情報のポータルサイトJ-phenome(http://jphenome.info/)を公開している。本データベースは、RDFと関連技術を用いて提供元のデータベースが見える形で二次的なデータ公開をする「メタデータベース」である。系統、遺伝子の変異やバリエーション(アレル)、表現型等を、オントロジーや公共データのURI でアノテーションすることで、横断検索や他のDB との関連付けを容易にし、日本発表現型データの利用を拡大することを目的としている。 個々のデータセットは、提供元データベースに対応した「グラフ」として作成され、それぞれ個別DB として理研メタデータベース(http://metadb.riken.jp/)によりホストされている。各DB は共通スキーマで構築され、横断検索や連邦検索も含め、SPARQL 言語による自由な検索が可能である。理研メタDB から提供される一般的な閲覧画面に加え、疾患名、遺伝子名、器官組織名などから疾患モデル生物を検索するアプリケーションからの利用も可能である。また、用途に応じた画面開発を簡便行うために、任意のテーブル表示画面を作成できるスタンザ「Stanza for Paging Table」も作成した。今後は、希少/未診断疾患、神経科学研究等、モデル生物を利用しているコミュニティとの連携を深め、表現型情報をより容易に利用できる環境を整備していきたいと考えている。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p074 |
番 号 | 76 |
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タイトル | 理研メタデータベース:分野を超えたデータ駆動型研究を支えるメタデータ利活用基盤 |
発表者 | ○小林紀郎1),2),3)、久米慧嗣2),4),5)、桝屋啓志1),3) |
所 属 | 1) 理化学研究所 情報基盤センター 2) 理化学研究所 CLST- JEOL 連携センター 3) 理化学研究所 バイオリソースセンター 4) 理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター 5) 理化学研究所 健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム |
要 旨 | 理化学研究所(理研)は自然科学の総合研究所として生命科学、物理、化学、工学を含む広い分野の研究センターや研究室を備え、分野横断的な多種多様な研究成果データを産出している。我々は、研究成果データの利活用促進のため積極的にデータ公開に取り組んでおり、既に理研メタデータベース(http://metadb.riken.jp/)と呼ぶResource Description Framework(RDF)に準拠したデータ公開基盤を整備し、生命科学系メタデータを公開している。例えば、生物種横断的に表現型データを統合したJ-Phenome、マウス表現型の国際コンソーシアムIMPC、ラットの脳や肝臓などの電子顕微鏡画像を含む画像データベースなどのデータが公開されている。 さらに分野を越えて、理研メタデータベースが活用されている。具体的な研究事例として、材料工学ではデータ駆動型研究を推進している材料スマート工場の実現を目指したデータ駆動型ものづくり研究、環境工学では持続可能な環境づくりを観測とシミュレーションを通じて行う研究、医工学では電子顕微鏡等の微細構造画像を活用した高速正確な細胞診研究が挙げられる。このように理研メタデータベースは、超統合メタデータの実現を通じて最先端のデータ駆動型研究を推進しており、その事例を交えて紹介する。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p076 |
番 号 | 77 |
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タイトル | 表現型データウェブ公開サポートシステム「Pheno-Pub」を用いた日本マウスクリニック網羅的表現型情報の公開 |
発表者 | ○鈴木智広、古瀬民生、小澤恵代、山田郁子、田中信彦、若菜茂晴、桝屋啓志 |
所 属 | 理化学研究所 バイオリソースセンター |
要 旨 | 日本マウスクリニックでは、国内外のマウス研究コミュニティーで開発された遺伝子改変マウスの網羅的かつ詳細な表現形解析を実施してきた(http://mouseclinic.brc.riken.jp/)。その結果、産出される各系統からの表現形解析データは400項目を超える。このような膨大な表現型情報をよりわかりやすく広く一般に公開していくため、我々は、表現型データの統計解析からウェブサイトの構築に至る一連の過程をサポートする「Pheno-Pub」と命名したオープンソースデータベースを開発した(Mamm Genome 24:473 -483, 2013)。これにより作成した日本マウスクリニック網羅的表現型情報の公開サイト(http://phenopub.brc.riken.jp/)では、閲覧者の目的を考慮し、Strain Viewer とGenotype Viewer と名付けた二つの閲覧画面で構成されている。Strain Viewer は興味ある検査パラメータを中心にさまざまな系統データを一望する、Genotype Viewer は興味ある変異遺伝子、もしくはその系統に注目して、さまざまな検査データ結果について詳細に閲覧する。さらにStrain Viewer とGenotype Viewer の解析画面はリンクしており、より自由度の高い閲覧が可能となっている。以上のことから、我々の開発したPheno-Pub システムがより多くの研究者に利用され、網羅的マウス表現型解析情報が、さまざまな研究分野の発展の一助になることを期待している。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p077 |
番 号 | 80 |
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タイトル | がん診療画像レファレンスデータベースの現状 |
発表者 | ○女屋博昭、小林秀章、平岡伸介、里見介史、加藤雅志、若尾文彦 |
所 属 | 国立がん研究センターがん対策情報センター |
要 旨 | がん診療画像レファレンスデータベース(NCC-CIR : https://cir.ncc.go.jp)は、がんの診療に有用な放射線、CT、MR、内視鏡、超音波、病理画像等の各種臨床画像・診断情報を提供する医療従事者(主にがん専門医と一般臨床医、研修医と医学部学生)向けデータベースで、国立がん研究センターがん対策情報センターが提供するものである。 症例ごとに注意すべき所見や診断の重要ポイントを整理し、放射線画像に対応する病理所見の提示を併せて行うなど、両者の対比を可能としている。また、コンサルテーションの際の参考情報、画像診断の初学者への教育資料としての活用や、病理診断や画像診断についてスライドなど視覚的資料を駆使した参考情報や鑑別診断に役立つコンテンツ等も用意し、症例提示とは別の観点から、がん診療に有用な教育資料としても充実させている。 がん対策情報センター開設翌年の2007年サイトリニューアル以降も、症例提示と病理・画像診断に関する有用な診断情報コンテンツを継続的に発信、毎月約10万件のアクセス数を維持し、2017年にタブレットやスマートフォンに最適化された表示に対応し、Mobile Safari からのアクセスが最近増加している。 |
発表資料 | doi:10.18908/togo2017.p080 |